「反省記」を読んで(2)
そして西和彦が関わっていた国内PCも多い。NEC PC-8001, 8801, 日立BASIC MASTER Lv3 (Lv2は使いにくかった)、沖電気 IF800、EPSON HC-20、、、 そしてMSX。 さらにPC-100 。ほとんど全てなんじゃないだろうか。そしてノートPC業界では「東芝の溝口が試作品ダイナブックに水をいれて、まだ薄くなると言った」という伝説があるけれど、あれも西和彦がタンディへのプレゼンでM100を水に入れ、でてきた空気の体積を測って、「この体積の分、まだ薄くなる」と言ったのが元らしい。
というわけで、80年代は、日々 Bit Inn やパソコン売り場に通っては PCを触り、ASCIIやら I/O を読み、と、我々は西和彦の頭の中で暮らしていたようなものではなかったのだろうか。
この本の前半はパソコン史がよく見えるのだけれど、後半は西和彦のつらい時期が語られる。読んでるだけで辛い。いろいろ失敗や不幸が重なり、権限がなくなっていく。そして、絶対芽がある!と信じているプロジェクトが、公的資金で介入してきた(パソコンのことを何もわからない)銀行屋さんによって潰されていく。 あのハイパーネット?システムのASCII NET も ASCII Internet eXchange も、これで潰されたのか。思うのだけれど、個人的には90年代も西和彦の頭の中で暮らしていたらよかったかもなと思う。だって表参道に VAX11があったんだぜ?
「反省記」を読んで(1)
西和彦さんの「反省記」を読んで色々びっくりした。自分が経験した多くの「パソコン文化」に、思った以上に西和彦が関わっていたらしい。
例えば工学社。パソコン雑誌の I/O を出していたところだけれど、ここも西和彦が立ち上げメンバーらしい。というか、最初に立ち上げた会社らしい。そしてここを郡司さん、塚本さんと、飛び出てアスキー出版をつくったらしい。 わたしは一応、「パソコン少年世代」と「マイコン少年世代」の中間くらいじゃないかと思っているのだけれど、コンピュータ関係の情報は ASCIIか I/Oから得ていた気がする(トラ技とかインタフェースとかはまだ理解できなかった)。
ASCIIとI/Oはちょっと違っていて、個人的であいまいな印象だけれど、ASCIIのほうが格好良かった。I/Oの方は理工学部的な?いま存在する技術でどう遊ぶか、みたいな感じで、一方、ASCIIはビジネス誌というか、コンピュータの将来を夢見たロマンチックでスリリングな感じがあったように思う。本にも書いてあるのだけど、「月刊ASCII」巻頭言で、西和彦は次のように書いたと言う。:
コンピュータが個人の手に届く商品となったら、それをどのように分類したらいいのでしょうか。電卓の延長ではないと考えます。家庭や日常生活の中に入ったコンピュータは、テレビやビデオ、ラジオのような、いわゆるメディアと呼ばれる、コミュニケーションの一手段になるのではないでしょうか。
西和彦 「反省記」 pp111-112
アランケイとどのくらい接触があったかわからないけれど、この時代にしてはなかなか先進的なコメントである気がするし、このあたりが、私が月刊ASCIIを格好いい、と思っていた原因な気もする。もう一つ格好いいと思っていた原因は、月刊ASCIIのビジュアルなんだけれど、あの特殊に大きい版(レターサイズ版?)や、ロゴなどの表紙のビジュアルなは、電通大出身の塚本さんによるものだという。これもびっくり。
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とりあえずの方針
「デジタルカルチャー」について考えたこと、知り得たことを書いていく予定。
というのは、私は社会学者さんではないので、分析して論文にまとめるようなことはできないのだけれど、それでも「デジタル」は色々な物事を変容させていく強力なドライビングフォースだと思うので、せめて何があったか記録したり、ふわっとしたことをコメントしていこうと思う。
そもそも「デジタルカルチャー」とは何なのか。数年前から?海外の大学のカリキュラムに登場するようになった(と認識している)言葉なのだけれど、要は「デジタル」であることで発生するようになったり変化してきた文化を扱う言葉と思っている。例えばwikipediaだと、”digital culture” を引くと “internet culture”に飛ばされて、そこには以下のように記されている:
Internet culture, or cyberculture, is the culture based on the many manifestations of the use of computer networks for communication, entertainment, business, and recreation.
https://en.wikipedia.org/wiki/Internet_culture
個人的には Lev Manovich が “Software takes Commands” で扱ったような、ソフトウェアが社会にどう影響を与えたか、についての研究(彼は “Software Studies” と呼んでいる)、をもうちょっと対象範囲を文化面に広げたようなものに興味がある。デジタルアートとそのEnablerとしてのソフト・ツールなどは調べてみると面白い気がしている。